Interview
ガンジュ岩手 若林翼 選手

若林翼(わかばやし つばさ)。1991年4月14日生まれ。6歳まで三重で過ごし父親の転勤で石川へ。
小学2年生からサッカーを始め、星稜中学→星稜高校→北陸大学へと進学。大学卒業後は、ガンジュ岩手(東北社会人リーグ1部)へ入団。今年2シーズン目を迎える。2012年〜2014年石川県国体選抜メンバー。
名前もポジションも偶然
ごぶさたしてます。
これまで飽きる程聞かれたと思いますが、やっぱりこの話から(笑)。
名前の由来ですが、やはり親御さんがキャプテン翼が好きだったからですか?
どうしてもそう思いますよね。でも偶然です(笑)。
確かに名前をつけた父親は、キャプテン翼という漫画があることは知っていたらしいですけど、それが名前の由来じゃないです。しかも、ライバルのキーパーの名前が若林ということは、知人から聞いて初めて知ったくらいですから。
では、サッカーをはじめたきっかけも名前からじゃなく?
サッカーは、小学2年生の時に友達に誘われて始めました。
その時は、ドッジボールが得意だったのでGK(ゴールキーパー)できるんじゃないかと(笑)。
でも、入団後はCB(センターバック)もやりましたし、FW(フォワード)も。
その後にGKですね。
GKというポジションは当時どう感じてましたか?
やはりFWやMFでゴール決めたいとか思いませんでしたか?
走るの嫌いなんで(笑)。
身長も学年で1番高かったですからね。自分らしいポジションだと思ってました。
そして星稜中学へ進学するわけですが理由は?
高校と兼用ですけど、人工芝のグラウンドなど施設面が充実していたというのは大きな理由ですね。
入学前の見学では、当時高校3年生の豊田さん(現サガン鳥栖)も練習してましたよ。
また、中高一貫なので高校受験もなくサッカーに集中できるし、お昼がお弁当だったのも大きいですね。給食よりやっぱ母親の弁当がいいでしょ!(笑)。
名だたる先輩の背中を追いかけて
星稜高校の強さはいわずもがなですが、星稜中学も2011年に全国優勝するなど強豪校といっていいと思いますが、当時はどうでしたか?
星稜高校が選手権で初のベスト4に入ったのがちょうど入学した年でしたけど、中学の方は正直強いとはいえませんでしたね。もちろん石川県内の大会ではあまり負けた記憶はないですが、北信越ではあまりいい成績を残せてなかったと思います。
そして、星稜高校へと進学。
鈴木大輔選手(現柏レイソル)が在籍してた頃?
1年生の時に、鈴木さんは3年生で主将でした。優しい先輩でしたよ。
先輩たちに囲まれて萎縮している自分に、「おもいっきりやればいいよ!」と声をかけてくれたり、筋トレとかも一緒にさせてもらったりしました。
当時のチームの戦績はどうでした?
本田圭祐さん(現ACミラン)など、偉大な先輩たちが在籍していたおかげで周りの期待も大きかったんですが、1年生の時に高校総体で準優勝ぐらいですね。
それはもちろん素晴らしい結果ですけど、選手権では2年連続初戦敗退。3年生の時も2回戦敗退。僕が在籍中の成績は決して誇れるものではなかったですね。
キーパーへの指導は?
基本的にはキーパーコーチですね。キーパー同士でトレーニングすることもありました。3年生の時は木寺さんにコーチしてもらいました。
木寺さんには大学時代にも指導してもらいましたけど、うまく褒めてくれる方でしたね。自分は褒められて伸びるタイプなので好きです(笑)。
でも、結局正GKにはなれなかった。その年はキーパー豊作の年だったので(笑)。自分ではかなり成長したと思ってたんですが。。。
高校卒業後は北陸大学へ進学しますが、ほかの選択肢は考えませんでしたか?
県外や県内の他の大学も考えましたけど、教員免許が取れることが絶対条件でしたし、なおかつサッカーを続けていく面では北陸大学は魅力的でした。
在学中にC級ライセンスも取得できるし、海外留学ができることも。
何より、元日本代表DFの監督(越田剛史現総監督)や、元Jリーガーのコーチ(西川周吾現監督)という素晴らしい指導者がいましたしね。
4つのチームを経験した大学時代
大学ではすぐにレギュラーポジションを?
いえいえ。
北陸大学は選手層が厚いですからね。
1年生の時はテイヘンズFC(当時北信越フットボールリーグ1部)でプレーしてました。
西川監督は、レンタル移籍っていってます(笑)。
そうなんですか!初めて知りました。
テイヘンズFCの試合もかなり見てますからその時にすでにお会いしていたかもしれませんね。
テイヘンズFC在籍中は、県選手権(天皇杯予選)の準決勝で自分のチームともいえる北陸大学と対戦し勝利。決勝でツエーゲン金沢(当時JFL、現J2)と対戦しました。
ま、僕はベンチで見てただけですけど(笑)。
それでテイヘンズFCにはいつまで?
2年生の5月くらいですね。
北陸大学のセカンドチームにあたるFC北陸のGKが不足したからという理由でFC北陸へ移籍しました。
その後、3年生の後期からようやくトップチーム(北信越大学サッカーリーグ)入りできました。
国体メンバーにも選ばれてましたね。
3年生と4年生にメンバーとして選ばれて本大会(国民体育大会)へと出場しました。
実は、2年生の時にも呼んでいただいたんですけど、ドイツへの短期留学の日程と重なっていて辞退せざるを得ませんでした。
しかも帰国してから骨折が発覚したというオチつきでした(笑)。
国体にかける想い
国体は、ミニ国体(地区予選)も含めかなり行ってます。
2013年の新潟でのミニ国体も東京での本大会(東京国体)の3位決定戦も応援に行きましたよ!
ありがとうございます!
僕は国体への思い入れはかなり強いんですよ。
先ほどもいったように、2年生の時に辞退したのにも関わらず、翌年も声をかけてくれた中野監督には本当に感謝してますし、バックアップしてくれる方々の気持ちにも応えたいですから。それに、自分のプレーをアピールするチャンスでもありますし。
大学を卒業した昨年も選ばれましたが、残念ながら3年連続の本大会出場はなりませんでしたね。
試合終了のホイッスルが鳴った時、チームで一番悔しがってたように感じました。
初戦で一番警戒していた福井選抜(=サウルコス福井)に競り勝ち、準決勝では富山に快勝。これでいける!という気のゆるみみたいなものがチーム全体にあったかもしれませんね。だから、決勝では最高のパフォーマンスが発揮できてなかったような気がします。その不完全燃焼に対しての悔しさもあったのかも。
ラストプレーでゴール前まで上がってのヘディングは惜しかったですね。
ロングスローを入れることはわかっていたので、何とかしたいという気持ちで上がったんですが、まさか自分のところに来るとは(笑)。
山岸選手(モンテディオ山形)みたいにヘディングシュートの練習をしておくべきでした(笑)。
今年も選抜される可能性が高いと思いますが。
だとうれしいですね。
もし選ばれたら後輩達のお手本になるように、全力でプレーをしたいと思います。
なんとかベスト4の壁を越え、『日本一』というものを経験したいです。高校の後輩達には先を越されましたが、負けてられません!
大学に話を戻しますが、思い出に残っている試合とかありますか?
大臣杯(2013年総理大臣杯北信越予選)の決勝で、星稜大学に負けたことですね。
せっかく2点リードしてくれたのに、終了間際のPKで同点にされちゃって。結局、PK戦では1本も止められず負けましたから。
蹴る方向はほとんどわかってたのに残念です。
蹴る方向がわかってた?
2012年のミニ国体でPKを止めた時もそうですけど、過去の試合をチェックしてデータを分析してますから。あまり他のキーパーがやってるの聞いたことないですけど、そんなの好きなんですよ。
元ドイツ代表GKのレーマンも相手選手の癖をメモをストッキングに隠してましたけど、あれはGKコーチが書いたものですからね。僕の場合は自分で調べたデータですから(笑)。
新天地、岩手へ
なかなか充実した大学時代だったようですけど、卒業後の進路はどうやって決められたんですか?
今お世話になっているガンジュ岩手には、ある方の紹介で練習参加して4年生の夏頃には内定をいただいていました。
その他にもいくつかのチームに練習参加させてもらったり、テスト受けたりしたんですけど、GKというポジションは1チームにせいぜい3人くらですからね。
実力もそうですけどタイミングも大事なんでしょうね。契約までに至るチームはありませんでした。
といっても、ガンジュ岩手にいやいや入団したわけじゃないですよ(笑)。
ガンジュ岩手には、元ツエーゲン金沢の選手もいましたね?
今シーズン前に移籍しましたが、長谷部選手と仲谷選手がいましたね。
二人とはよく話させてもらってましたよ、ツエーゲン金沢や石川のこととか。
昨シーズンの出場機会は?
ほとんどなかったですね。
練習試合以外だと東日本大会での出場くらい。
なかなか厳しいですね……
そうですね。
練習でなんとかアピールして試合に出ないと……
2年目の今シーズンにかける想いは?
このまま出場機会がないと3年目はないと思って練習に取り組んでいます。
そういう意味でも国体でがんばりたいんですよね。
日頃できないアピールの場となりますし、もしどこかのチームの目に留まれば選択肢が広がりますから。
今後の目標や夢は?
大学で教員免許をとったので、将来的には学校の先生をやりながらサッカー部の顧問ということを考えてますが、今はまだその時じゃないし、ここで安定を求めたらたぶん後悔するでしょう。
とにかく前を向いて今できることを精一杯がんばるだけです。
本日は、帰省中の貴重な時間にインタビューさせていただいてありがとうございました。
今後のご活躍をお祈りしています!
あとがき
礼儀正しく温和なイメージだけど、言葉の端々に負けん気の強さが見え隠れする。大学や国体では活躍しながらも、現チームでは出場機会が少なくもがいてる感じが見受けられた。ただ、レベルを落として自分自身を甘やかすことを考えないところが彼の素晴らしいところ。今後もぜひ応援していきたい。(取材協力・北陸大学)
(インタビュー 2015.3.23)